フーコック島はベトナム最西端、カンボジア領と接している離れ小島です。数年前まではまだ観光インフラが不十分で、外国人には行きにくいエリアでしたが、ここ最近は政府が観光資源に目を付けて、インフラにお金を注いでいるようす。徐々に外国人にも認知度が上がってきて、ちらほら日本人の姿もみかけるようになりました。
今回は、そのフーコック島の中心部で毎夜開催されるナイトマーケットをご案内します。
アクセス
場所はフーコック島の中心部。石山殿の目の前の一本道です。門となる入口には「CHO DEM DINH CAU=ディンカウナイトマーケット」と表記されています。多くの滞在者はこの界隈にホテルをとっているかと思いますし、徒歩圏内で行けるホテルも多数あります。またヴィンパール周辺のホテルに滞在されている方は、そこからタクシーで20分程度で行くことができます。ナイトマーケットは毎夜日が落ちる18時以降に店が徐々に営業しはじめ、ピークは19時〜21時。23時を回ると、徐々に店をたたみはじめます。
旅行客で大賑わい
通りはピーク時には写真のように大勢の観光客で埋め尽くされます。両脇にはお店が肩を狭めて窮屈そうに並び、その数は100以上。最初はすべて食事処で、中盤以降に雑貨店が並びます。お店の割り合いとしては、6:4くらいで、食堂が幅広いスペースをとっている印象です。
筆者が訪れたのは旧正月ということもあって、ベトナム人観光客が非常に多くいました。ただし、欧米人の姿も多くいて、現地の人に訊ねたところ、オーストラリア人、ロシア人、フランス人、アメリカ人が常連とのことでした。特にロシア人はフーコック島に移住して、ツアーデスクや民宿を経営している人もいるようです。
欠かせないシーフード三昧!
食堂はすべてがシーフードレストラン。当然といえば当然ですね。シーフード以外にもメニューを見れば麺類やご飯もの、スープ、鍋といろいろありますが、シーフード以外であれば、ここで食べる必要はありません。
シーフードの注文方法ですが、すべて指さし注文です。その日の水揚げによって、料金が異なります。つまりマーケットプライスですね。ただし、気を付けてほしいのが「とはいっても、物価が安いベトナムでしょ? 高いと言ってもたかが知れてるよ」と高を括って、ろくに値段も訊かずに注文してしまうことです。このナイトマーケットに並ぶ魚介は、すべて1.5倍から2倍ほどのサイズ大ばかり。日ごろから海鮮料理を食べているベトナム人も、「こんな大きいのはみたことない」と言うばかりです。ですので、料金も特別価格。決して安いとは感じないかと思います。
注文の仕方
店頭には、水槽やタライで生きた魚介が泳いでいます。ここから指を指して選ぶことができますが、選ぶ前には必ず料金を把握しておかなければなりません。料金を訪ねると、お店の人はキロ単位の値段を言ってきます。ただし、キロ単位で注文する必要はまったくありませんので、通常は1種につき500g〜1kgの間で選びましょう。
ただし、前述したとおり、ここに並んでいる魚介はすべてがビッグサイズ。ロブスターやシャコ、イカ、魚などは1匹2匹で1キロをオーバーしてしまいます。その場合は、重さで注文するのではなく個数で伝えることも可能です。もっと詳しい値段を知りたければ、最初個数を指定してその後、重さを教えてもらいましょう。「この海老、2個だと重さどのくらい?」といった風にです。お店の人の多くは英語ができますのでご安心ください。
調理方法
調理方法は、何も指定しなければ素焼きとなります。ただしそれでも炭火で焼くので風味豊かで香ばしいです。また、店によっては、こちらから調理法を指定しない場合は、店のおすすめとなることもあります。その場合は、店が考える一番おいしい食べ方で調理してくれます。
ベトナム人は、ニンニクやレモングラス、刻んだ唐辛子など複数のスパイスでフライにするのがおいしい食べ方だと考えていますので、海老や魚はそのように調理してくるかもしれません。もし新鮮なまま味わいたいので、素焼きがいいのであれば、その旨を告げてください。ベトナム語では「Nuong(ヌン)=焼く」と言います。
値段の相場
値段は店によって変わるので注意を。同じ魚や貝でも、隣の店とはキロ単位で10万ドン程度変わることもしばしばありますので、最初は値段を訊くだけに徹し、ナイトマーケットを一周するのがいいでしょう。そして、「貝はこのお店、海老はこのお店が一番安い」と覚えておいて、食べるものによって店を変えるのも有効な手段です。
値段の相場は、貝はキロ単位20万ドン〜60万ドン、魚は10万ドン〜30万ドン、イカは20万ドン〜40万ドン、海老(大)は150万ドン〜300万ドン、海老(小)は15万ドン〜40万ドン、シャコ(大)は100万ドン〜160万ドン、シャコ(小)で40万ドン〜60万ドン、牡蠣は1個5万ドン〜8万ドン、ウニは1個3万ドン〜5万ドンとなります。
ただし、これらはすべてその日の水揚高によって異なることは覚えておいてください。ベトナムのホーチミンやハノイのシーフードレストランの値段と比べても遜色はまったくなく、むしろこちらの方が高いです。ただし、何度もいうように、これほどのビッグサイズは都心には出回っていません。
ウニとカキもここでたっぷりと食べることができます。また、生で食べることもできますが、ベトナム人はウニを生で食べることはないので、何も言わなければ焼かれてしまいます。カキはチーズで焼かれてしまうでしょう。もし生で食べたいときは、「フレッシュ」といえば通じます。生で食べる場合は、ベトナム醤油とわさびを持ってきてくれますので、それで食べてください。
佃煮はお土産にも
雑貨店には食品を扱う店もあります。そこでおすすめなのがこちらの甘露煮。プラスティックの容器で密封されているので、匂いが外に出てしまうことなくお土産として日本に持って帰ることができます。海老や小魚、イカ、タコといった魚介の甘露煮は日本人の舌にも合いますし、そもそも味は佃煮そのものです。
フーコック島には真珠の養殖工場がありそこから卸している真珠店もあります。養殖真珠は小粒で1粒20万ドンが相場。自分で組み合わせてアクセサリーをカスタマイズすることもできます。女性必見のお土産ですね。イヤリングや指輪程度であれば安くすみますが、ネックレスとなるとたくさんの真珠を使いますので、値段も上がります。
もう一つのナイトマーケット
ディンカウナイトマーケットから徒歩5分ほどの距離の川沿いには「バクダンナイトマーケット」があります。こちらも毎夜開催していますが、お店の数は少なく、あまり繁盛していないようす。お客もほとんど見かけないほか、店で扱っている魚介の種類もわずかです。ただし、ディンカウの方がすでに飽和状態なので、今後はこちらも第2のナイトマーケットとして盛り上がるかもしれませんね。
せっかくのアイランドトリップ。本来ならば毎日ナイトマーケットでシーフード三昧を試みたいところですが、予算的にかなり厳しくなることが予想されます。ただし、最低でも1度はこの大振りの魚介を堪能していってほしいところ。現地で何を食べるのか、事前に決めて予算を確保してみたらいかがでしょうか。