ハノイの女性博物館は、近年国内外から注目されている人気の観光スポット。モダンな建物と広い敷地内を持ち、館内ではベトナム人女性にまつわるエピソードを写真や模型で紹介しています。国外から男女不平等と言われる日本の女性社会と比べると、ベトナムでは女性の方が、地位が上のような気がします。強くたくましく生きるベトナム人女性の様子は、日本人旅行客などの外国人からすると非常に興味深いものがあり、ベトナム人女性の生き方はもちろん、その価値観、文化などを知ることができるハノイ一押しの観光スポットです。
ベトナム人女性の性格は昔からたくましい!
ベトナム人は龍の子孫だという伝説があるように、女性は非常にたくましく、屈強な性格の持ち主です。その気質は昔から歴史が証明しているといっていいでしょう。博物館では、ベトナム人女性の日々の生活や、ベトナム戦争時の女性の生き方までを紹介しています。
ベトナム人の間の俗諺には、「ベトナム人の女性はライオン、最後はドラゴンになる」という言葉もあります。結婚して家を守り、出産して子供を守る強さを比喩したものですが、非常にユニークな俗諺で、彼女たちも「その通り。私たちの性格をよく表している。」と認めている節もあります。
女性博物館では、日本人女性との性格の違いに驚くでしょう。控えめでおとなしい女性が多い日本と比べ、ベトナムの女性はとにかく逞しい性格です。幼い頃は家族の一員として助け合い、結婚すると自分が家族を支えなくてはという思いが強くなるので、男性からも頼りにされています。
働くベトナム人女性
旅行でベトナムの町を歩いていると、男性は昼間からカフェや路上でコーヒーやビール、将棋などに興じて遊んでいるのに対し、女性は道端で物を売ったりと、商売をしている様子をよくみかけます。一般的に、ベトナム人の男性は怠惰(大らか)な性格であり、女性は生活を守るため、必死に頑張る性格と言われています。
重い荷物を自転車に載せて引いて歩いている様子はとても逞しく、母としても妻としても申し分ないですね。もしもベトナムの女性と家庭を築いたら、非常に心強いと思います。
写真のこちらは「天秤棒」。ベトナムだけではなく、東南アジア全般で見ることができう生活用具の一つですが、こちらも携えている多くは女性です。ベトナムで天秤棒はまだまだ現役で活躍していて、物売りの女性の必須の商売道具と言えます。支点、力点、作用点を押さえて、かなり思い荷物も方でバランスをとってなんなく運ぶことができます。
現在では町を歩いていると、双方のザルに食べ物を入れた女性を見つけることができ、呼びとめると、その場で天秤棒を下ろして商品を売ってくれます。家庭を守るためいつでもどこでも商売ができる、ベトナム人の知恵の道具といったところでしょう。
ベトナム戦争の主役は女性だった
ベトナム戦争で女性は、ただ家を守っていただけではありません。女性も戦争に出て活躍していました。例えば陸上で激しいゲリラ戦を繰り広げた南部クチトンネル。ベトコンの女性は米軍のスパイとして潜入し、隙をみて暗殺したり、捕虜のふりをして相手を欺くこともしました。また、戦争証跡博物館では、女性が戦火から逃げるため、幼き子供を肩にかついで川を渡る写真も展示されています。子供を守るためならどんな事も厭わない、それがベトナム女性の信念です。
また、家の大黒柱として主役を担っているのもやはり女性。戦争に出兵した夫の帰りを待つ女性の人生を描いたドラマや映画も数多くあります。さらに、ベトナムには出兵した夫の帰りを子供と二人で死ぬまで待っていた女性にまつわるおとぎ話もあるほど。
子供を命がけで守り、夫を愛し抜く姿勢は、ベトナム女性ならではの自立した強く美しい姿だと思います。
子供も懸命に働く
ベトナム人の女性は子供のときからたくましかった。そう思わせてくれる一枚の写真。屈託ない笑みを浮かべていますが、こちらは仕事中。親の手伝いをしている一コマです。ベトナムではまだまだ都心部でも田舎でも同様の光景をみることができます。大抵の親は自分で店や仕事を自営していて、従業員を雇うお金がない家庭では家族総出でお金を稼ぎます。
小さな子供も、学校が終わったら屋台を出す手伝いに精を出し、お金を稼ぐことを覚えます。ベトナム人の女性がたくましい性格をしている意味も分かってきますね。
親からは生きていく知恵や強さを学び、兄弟姉妹からは思いやりを覚え、そうやって幼い頃からたくましさを身につけていくのがベトナム女性の特徴です。家族を大事に思う心は、どの国にも負けません。
少数民族の女性の生活風景を見学
ベトナム全国に53の少数民族が点在していますが、彼女たちの民族衣装や農具、漁具、調度品なども展示されています。いずれも希少価値がある貴重なものばかりです。ベトナムの少数民族で最も有名なのはモン族ですね。いくつかの支族がありますが、中でも北部サパに暮らす華モン族の衣装生地を使ったバッグやポーチなどは、ベトナム全国のお土産店で売られている人気アイテムです。
彼らの編む生地はミシンを一切使わない手刺繍なので、品質のいいものは非常に丈夫で、ミリ単位で編まれています。北部サパ近郊のバックハーでは、大規模市場が開催され、華モン族が下りてきて直売をしている光景もうかがうことができます。
繊細で気品あふれる生地を作れるのは女性ならでは。子供を育て、一家の中心として働くのはとても忙しく大変な事です。そんな中でも美しい生地を作り、日常のお洒落を楽しむのはベトナム女性の誇りと乙女心ではないでしょうか。
子供を背中におんぶして仕事をする女性
小さな子供をおんぶして仕事に出る女性。その女性ですら見る限りは10代後半から20代前半の年頃です。日本人女性であれば、ファッションや恋愛などに多くの時間を費やしていることでしょうが、彼女たちは違います。非常に厳しい生活環境の中で、子供や親の面倒を見て、一日一日を必死に笑顔で生きていく様子が見てとれます。
ここでは少数民族の冠婚葬祭、および宗教信仰も分かります。少数民族の宗教もさまざまです。仏教やキリスト教、イスラム教といったメジャーな宗教を もっている一族もありますし、その一族独自の信仰もあります。大抵はアニミズム信仰で、いわゆるあらゆるも物にそれぞれ神が宿っているという考えです。これは一般のベトナム人家庭でも根付いている考えでもあります。
ベトナム人女性は美しさも兼ね備えている
ここまでの内容だと、ベトナム人女性は非常に逞しさについて触れましたが、最近では、その美しさにも注目が集まっています。高い評価が集まる理由としては、そのスレンダーな体型、肌の美しさなどがあるようです。体型に関しては、アオザイなど民族衣装をはじめとした、ボディーラインがはっきりわかる服を着ることが多いことや、健康的な生活習慣、栄養価の高い食生活などが、そのスレンダーな体型を作りあげる理由の一つとも言われています。また、色白であることが日差しの強いベトナムにおいて、ステータスの一つでもあるため、普段から紫外線に気を使い白い肌を保るように努めている人が多いようです。
敷地内にはカフェも併設
敷地内右手と左手にはカフェも併設。右手はオープンエアで、左手は冷房の効いた室内があります。いずれも席に座ればスタッフがメニューを持ってやってきてくれます。歩き疲れているのであれば、ここで一休みして体力を回復させるのも手です。ただ、女性博物館の館内は冷房完備されているので、見学はゆっくりとできます。
アクセス
女性博物館はホアンキエム湖を南下して、東西に走るリートゥオンキエット(Ly Thuong Kiet)通り沿いにあります。地図で見るとホアンキエム湖南部からほどなく歩いた近場にあるように見えますが、この界隈は初見だと道に迷いやすいので、タクシーで行くのもいいかもしれません。
この周辺界隈でさらに観光散策したければ、さらに南下したところにホム市場があります。ただし、女性博物館から歩くと少し距離があり、またホーチミンと異なりそこかしこに休憩できるカフェがあるわけではないので、歩く覚悟は必要のようです。
<DATA>
名称:女性博物館(Bao Tang Phu Nu)
住所:36 Ly Thuong Kiet St. Ha Noi
営業時間:8:00〜17:00