常夏のホーチミンの楽しみといえば、実は夜。日中はベトナム人も暑くて外に出たがりません。そんな彼らが外の時間を満喫するのは、決まって日が暮れてから。東南アジアといえば「路上飯」文化が現在も染みついている一方、みなさんの中には庶民の楽しみといったイメージを持っている方もいるかと思います。しかし、それは大きな間違い。ベトナム人は誰であっても路上飯が大好き。そこに所得の差は一切ありません。自分の隣の汚いイスに座っているのが、誰もが知っている有名芸能人ということだってあります。
今回紹介するのは、ベトナム人が古くから親しんでいる「鍋」を路上で楽しむことができるお店。一風変わった注文方法がうけて、現在若者に大人気となっています。
中華の雰囲気漂うチョロン入口
場所は5区。観光客にとって、5区といえば華人が暮らす一大中華街「チョロン」があるエリア。ただし、今回紹介するラウ・ヌン・タイランがあるのは、5区の入口となるので、まだそれほど中華色は感じられません。とはいえ、チョロンまで続くフンヴオン通り沿いにあり、目の前はフンヴォンスクエアが建っています。
路上屋台にようこそ!
フンヴオン通りのとある歩道一帯を、簡易のテーブルイスで埋め尽くされている場所があります。「ラウ・ヌン・タイラン」とはタイ風の鍋という意味。ベトナム人はもともと鍋が大好き。気温が下がってきた夜になると、彼らは路上や食堂の鍋店に続々と集まってきます。
ベトナムの異国の雰囲気にどっぷりと浸かることができるので、旅行者の方は是非体験してみてください。病みつきになって、滞在中毎夜通うことになるかもしれません。高級レストランでお洒落なディナーも捨てがたいですが、このようなローカルな雰囲気も旅行らしくていいものです。
ラウ・ヌン・タイランが人気の理由
近年はベトナム人の若者はみんなフェイスブックなどソーシャルネットワークを通して情報交換をしています。ゆえに、流行というものが次々と巻き起こっています。そして最近の流行がこちらの「ビュッフェ形式」。食べ放題ではなく、選んだ分だけ払うのでビュッフェとは言えないですが、自分で現物を見て選ぶことができる、一風変わったお店です。
まず、イスに座っていても誰も注文をとりにこないので、注意してください。辺りを見渡すと、大きなおぼんに複数種類の料理を小皿に乗せて歩いているおばちゃんがいます。そのおばちゃんを捕まえて、自分が好きなお皿をとってください。回転寿司のようなものですね。このようにおぼんを持っているお店の人は複数人いて、それぞれ「肉」、「野菜」、「海鮮」と持っている料理が分かれています。
お次はつけダレ。まさかの13種類。レモン汁やチリソース、焼き肉タレにタマリンドタレなど、種類は非常に多いです。ただし、日本人の口に合うものは数少ない印象を受けます。一通り舐めてみて、お好みのタレを集中して使う方がおいしく楽しめるかもしれません。
これがタイ鍋の真骨頂
鍋は真ん中がそそり立つように山となっていて、その回りには水を敷いています。確かに筆者もタイ鍋といえば、このような真ん中が山のようにそそりたっている形をイメージします。この山に肉や海鮮を並べましょう。
店名にもなっている「ラウ」とは「鍋」、「ヌン」とは「焼く」、そして「タイラン」は「タイ」です。鍋といっても写真を見て分かるように、焼き肉の要素も入っています。なのでラウヌン。
そして、自分で焼くこともできますが、基本はお店の人がちゃっちゃか焼いてくれます。
気が付けば、歩道は客で埋め尽くされていて、大盛り上がり。ベトナム人は多くの客で盛り上がっているところに行く習性があるので、この様子をみたお客が、さらにバイクをとめて店にイスに座っていきます。
海鮮や肉は山で焼き、野菜は掘りに溜まっている水で鍋として楽しめます。お腹いっぱい食べても値段は路上価格。一人の予算600円〜800円程度でお肉も海鮮もたくさん食べることができます。
締めは焼きそばで
堀のお湯でインスタント麺を溶かし、残った野菜や肉を具にフライパンで炒めて、即席焼きそばを作ってもらうこともできます。しかも無料です。最後の締めにしては、かなり豪華で美味。こちらも必見です。
周辺にはタクシーはそれほど多くはないですが、お店の人に「タクシー!」と言えば、電話で呼んでくれるか、流しを捕まえてくれます。
<DATA>
名称:ラウ・ヌン・タイラン(Lau Nuong Thai Lan)
住所:31A/2 Hung Vuong St. Dist.5
営業時間:夕方〜22:00頃まで