近年は修学旅行先にベトナムを選ぶ私立高校も増えてきているようです。全体の旅行者数も増えてきていますし、ほんの十年前と比べると大分日本人にとって身近な存在になってきた様子。しかし、まだまだ日本人が知らない彼らの生活習慣もたくさんあります。
今回紹介するのは、「食」の習慣の一つ、「犬肉」です。ちょっとぞっとする人もいるかもしれませんが、これもれっきとした彼らの習慣です。
ベトナムにおける犬肉文化とは
自国の習慣にないものは、なかなか受け入れられないのは至極当然のこと。それが犬肉であればなおのことですね。しかし、ベトナムでは古くから犬肉を食べる習慣があるのも事実です。「ベトナムには野犬がいないんだよ。なぜならみんな食べちゃうから」と冗談で言うほど。また、ベトナム人もペットで犬を飼う人は多くいますが、目を離した隙に業者に盗まれて売られてしまうことも事実あります。
ただし、犬肉を食べる習慣は、はじめはベトナムにはなかったようです。犬食文化の本場は北に位置する中国から来たものです。中国人が南下してハノイを超えた際にもたらした食文化の一つのようで、ベトナム人にとっては「犬肉を食べるのは北部人だけ」とのこと。また、女性は毛嫌いして犬肉を食べたことがないと言う人が圧倒的に多いですし、食べたくないという印象のようです。ゆえに、犬肉は「男料理」として知られています。
犬肉をご賞味あれ。実際はどんな味?
犬肉を食べたければ、犬肉の専門の食堂に行かなければなりません。そこらへんのレストランや大衆食堂でたくさんの料理と一緒に扱っている代物ではないからです。犬肉料理は肉、尻尾、腸などを食べることができますが、どれも他の肉にはない特有の臭みがあります。ですので、調理法はじっくりグリルで焼いたあと、濃厚のタレや刻んだレモングラスと併せて食べるなどして、その臭みを消すようにします。
犬肉を食べるときに使うタレがマントムと呼ばれる小エビを発酵させた液体。これにレモングラス、刻み唐辛子、生姜を入れます。マントム自体も匂いが強いので、うまく犬肉と相殺しているようです。また、犬肉食堂で必ず売られているのが「ウォッカ」。男同士でウォッカをストレートで飲みながら犬肉を食べる。これがベトナム人男子にとっての至福の時間。ウォッカはベトナムでは非常に安く、中高年世代の強い味方。「ウォッカハノイ」や「ネップモイ」は古くからある地場企業のお酒で、500mlのボトルでも100円程度です。
ホーチミンで食べるならゴーバップ区へ
上述したように、犬肉は専門食堂でしか食べられませんし、その食堂は市内のどこでもあるわけではありません。旅行者にとって近場で見つけやすいのは、ホーチミン北側のゴーバップ区です。空港からタクシーで20分ほどでしょうか。ゴーバップ区にあるカイチャム通りには、北部出身の人が開いた食堂がずらっと並んでいて、その一角に犬肉食堂が数軒あります。店頭では犬肉の丸焼きがあるので見た目でも分かりますし、看板に「Thit Cho(犬肉)」と掲げてあるので、それほど見つけるのは難しくはありません。
珍味としてチャレンジしてみてはいかがだろうか
今回紹介した犬肉料理は、ベトナム料理というよりは、ベトナムの一部の人たちに愛されている珍味としての位置づけが正解。日本では滅多に食べられない料理であることにかわりはないので、ベトナムに来た際は一度試食してみてはいかがでしょうか。