ハノイは政治のおひざ元。市内中心部にはさまざまな政治と歴史関連の博物館が点在しています。しかし、今回紹介する「ベトナム軍事歴史博物館」は他の博物館と比べると少し別格。ホーチミン廟などがある周辺に位置して、世界遺産のタンロン城跡にもほど近いです。注目の展示品は、なんとベトナム政府の国宝に認定。ハノイに来たら一度は見て行ってほしいです。
今回は「ベトナム軍事歴史博物館」をご紹介します。
アクセス
場所はタンロン城遺跡の傍。ホアンキエム湖からタクシーで20分程度でしょうか。ホーチミン廟と文廟もすぐ近くですが、歩くと少し距離があるのでタクシーで向かうのが無難。もしチャーターしているなら、博物館周辺で待機してもらうといいでしょう。
外回りには巨大な戦闘機が
入場してすぐ横には小型戦闘機、ソ連製のミグがあります。ミリタリーや戦争の歴史好きはすぐに分かる人気の戦闘機です。さらにその奥にはフラッグタワー。フラッグタワーを越えた先には飛行機の墜落した様子を再現した巨大な模型があります。他の博物館では見られないですし、等身大さながらの大きさななのでかなり見ごたえがあります。
戦闘機の残骸。歴史に深く刻まれ、類を見ない数の戦死者を出したベトナム戦争。しかし、悲壮感は感じられません。感じることができるのは、自由と独立を勝ち取ったベトナム人の勝利の喜び。当時は女性軍人も多くいて、その一人が残骸を引いて歩く写真も傍に立てられています。
フラッグタワーは国旗掲揚台。ここの他にはフエの世界遺産阮朝王宮の敷地内にも同様のフラッグタワーがあります。しかし、フエの方は遠くから眺めるだけですが、同博物館では高台に登ることも可能。実はここから望める景色もよく、世界遺産のタンロン城跡を一望することができます。また、飛行機の巨大模型も上から見下ろすことができるので、その全体図と迫力を目と肌で実感することができます。
館内はベトナム戦争当時の貴重な実物品が展示
館内は小ぢんまりとしているので、一周するのに30分とかからないでしょう。しかし、まばらに展示されている数々はそのほとんどが実物の貴重な品ばかりです。ここで展示されているのは主にベトナム戦争で利用された戦闘用ライフルやマシンガン、ハンドガンといった銃火器類、それと米軍やベトナム軍が使っていた迷彩服やタイヤのゴムで作った草履、調度品なども見学することができます。
また、2階にはディエンビエンフーの戦いやベトナム戦争終戦のサイゴン解放の様子をジオラマで再現したものがあります。ちなみにディエンビエンフーの戦いはベトナム戦争の前に起こったベトナムとフランスの戦争です。当時はフランスの統治下であり、ベトナム一帯はフランス領インドシナと呼ばれていました。ディエンビエンフーの戦いは、ベトナムによる解放戦争であるインドシナ戦争において、最大規模の戦いが繰り広げられました。結果はベトナムの勝利。フランスは撤退することとなります。
ベトナムを統一に導いた国宝の戦車がここに
同博物館で最も注目したいのがこちらの戦車。ソ連製の843号。ベトナム戦争終結の1975年の4月30日。2台の戦車がフェンスを破って南ベトナムの大統領官邸に押し入り占拠しました。それが事実上の戦争終焉のサイン。843型に乗っていた隊長が官邸の屋上に登り、国旗を立てたのです。ちなみにもう一台の390号は戦車・装甲車博物館に展示されていて、そちらも国宝に認定されています。390号はまだエンジンが稼働するようですが、こちらの843号は運転が停止。
ベトナム戦争を肌で知る
南北統一後、旧大統領官邸は名称を改め統一会堂と呼ばれるようになりました。ホーチミン1区中心にある観光名所ですね。ベトナム軍事歴史博物館はベトナム戦争を肌で感じることができる貴重な場所として、観光客に支持されています。事前にベトナム戦争の大まかな流れを知っておけば、より深く楽しむことができるでしょう。