いつのときもバックパッカーに高い人気を誇るインドシナ半島。インドシナ諸国の中でも取り分けフランスの影響が色濃く残るベトナムですが、メコンデルタ地方はまた異なる南国独特の雰囲気を体感できます。個人旅行者の多くが大きなリュックを背負ってメコンの各都市を横断しています。
今回は一人旅ならではのメコンの魅力をお届けしたいと思います。
移動はバスを利用
メコンデルタ地方に行くにはホーチミンを起点に移動することとなるでしょう。現時点では日本からメコンの都市への直行便はありませんので、移動は長距離バスとなります。長距離バスはデタム通りのツアーデスクでチケットを手配できます。また、ミエンタイバスターミナルからもメコンの各都市に発着しています。料金はいずれも片道各都市1000円以内で行くことができるので格安です。寝台列車は御覧のように全席指定席となりますので、目的地まではゆっくりすることができます。だいたい3時間おきくらいに休憩タイムがあります。
旅の醍醐味でもあるのが"路線バスの旅"ではないでしょうか。地元に風に髪をなびかせて窓の外の風景を見やる。現地人が声をかけてくることもあれば、同じような外国人旅行者と旅路を共にすることもあるかもしれません。
路上カフェで何もしない時間を堪能
ホーチミンではここ十年ほどで、冷房つきのお洒落なカフェも普通となりました。焙煎からこだわった一杯500円するコーヒーも現地人に大人気。しかし、それはまだあくまでも都心だけの話。メコンデルタではまだ冷房つきのカフェやお洒落な内装のお店はほとんどなく、こうした路上カフェが現地人の拠り所となっています。彼らと一緒に小さな椅子に腰かけてココナッツジュースやベトナムコーヒーを飲む時間を満喫してみてはいかがでしょうか。
当てもない散歩にガイドブックはいらない
町中をうっそうとした南国の木々が覆い、ドアのないオープンカフェでたむろする男性たちの笑い声、それらを抜けるように歩くメコンの町散歩は、時間も忘れるおだやかなひとときです。日本の都会の生活に慣れてしまった旅行者にとっては、なんだか非現実的な風景に映るかもしれません。ガイドブックで名所の場所を探す必要もなく、ただただ町を歩いて目に映る風景に癒される。そんな心休まる時間を満喫できるのも、メコンの旅ならでは。
メコンの料理を楽しむ
ベトナム料理の名物といえば、米粉で生地を作るライスペーパーです。最も知られているところでいえば生春巻きですね。メコンデルタはベトナムで最もライスペーパーが作られている場所として知られていて、どの都市でもこのような制作している様子をいたるところで見ることができます。都心ではライスペーパーは業者からまとめて仕入れるのが普通ですが、メコンのお店では、自分たちで作っているところも多くあります。もっちりとした作り立てのライスペーパーを食べさせてくれるところもあり、是非味わっていってください。
そして忘れてはならないのが果実。日本では見ることができない南国果実もたくさんありますので、それらをかたっぱしから試食してみてください。筆者のおすすめはジャックフルーツとドリアン。かなりクセがありますが、日本では滅多に食べることができないので、試す価値ありです。
ボートに乗ってメコン川を疾走
「こんなおんぼろボート嫌だよ」
「私船酔いしちゃうから無理」
といった声が聞こえないのが一人旅の気楽なところ。何をするのも自分ですべて決めることができます。メコンデルタの町によっては、対岸へ行くために車よりもボートを利用することが多々あります。また、地域によっては一家に一隻ボートを持っているところもあるから驚きです。メコンデルタの民にとっての貴重な足として、ボートは現在も普段から利用されています。次の町へボートで行くというのも、メコンの旅ならではの体験です。
奥が深いメコンの町
メコンデルタ地方は13の都市(省)で構成されています。これらは陸続き(フーコック島除く)で行くことができるのですが、面白いのは都市ごとに異なる習慣を持っているということ。一人旅行者を飽きさせることは決してありません。のどかな町と人々に癒され、そこで見る素朴な景色にストレスを忘れ、生きる活力をもらうことができます。いままで一人旅をしたことがないという人も、一度リュックを背負ってバスに乗り込んでみてはいかがですか。