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ベトナムの普通のマンションってどんな間取り?

日本では1970年代からマンションブームが到来。80年代にはバブルも相まって、爆発的にマンション購入者が急増しました。某不動産会社の調べでは、日本に終ける一世帯当たりの居住人数は2.6人。地価が桁外れに高い都内で一戸建てを建てるのに魅力を感じなくなった現代人は、そろって分譲マンションに目を付けたのです。それと同時に核家族化も広がり、現在にいたるまで一種の社会問題に発展したのはまだ記憶に新しいところ。

今回紹介するのはベトナムのマンションに関して。高度経済成長期であるベトナムでは、ホーチミンを中心に投機目的のマンション売買が盛んですが、居住目的の買い手も大分増えてきました。そこで、今回はベトナムのマンションの基本設備や間取りをご紹介したいと思います。

外国ではマンションではなくアパートメント

高級マンション

まず最初に、ベトナム人だけではなく、外国人に「マンション」という言葉は通じません。マンションといえば、ビルゲイツが住むような豪邸を本来は意味するからです。基本日本人が認識しているマンションは、ベトナム含む外国で言う「アパートメント」となります。さらに言えば、キッチンがついている中長期滞在者ようのホテルは「レジデンス」と呼びます。もちろんレジデンスに暮らすこともできますが、基本は駐在員や1~3か月ほどの中期出張者が利用します。今回紹介するのはアパートメント(マンション)の方となります。

高級マンションの設備は?

広い公園を持つマンションも増えてきた

今回紹介するのは、高級と名の付く部類のマンション。都心であれば駐在員も多く暮らしているマンション。マンション価格が平均して2000万を超えるような物件には広々とした公園が敷地内に隣接していることも多く、基本は滞在者及び関係者のみの利用となります。

芝生で夜のピクニック

公園の敷地内では散歩だけではなく、子供向け遊具が充実しているほか、BBQ場があるのもベトナムならでは。また、お弁当を作って芝生で御覧のように大勢で食事をする方々も見かけます。筆者は分譲マンションの説明会に10回以上足を運んだのですが、やはりBBQ場の有無は重要なステータスのようです。

屋外プールはもはや定番に

高級マンションの代名詞的設備でもあるのが「スイミングプール」。最近はミドルクラス(1000万~1500万円)のほとんどのマンションにも備わっていて、"プールがあるのは"と化しています。ただし、複数棟から成る高級マンションの場合はプールも複数なければならないため、その分管理がずさんとのこと。また、基本は屋外プールのため、雨降りのときは泳げませんし、雨が上がったあとも汚くて泳げないようです。屋内にプールがあるマンションはほとんどなく、筆者が知る限りではホーチミンにある最低価格が3000万円クラスのラグジュアリーマンションの1つのみ。

近年はベトナム政府が健康対策による運動を積極的に推奨している

プールがあれば、まず間違いなくあるのが「フィットネスジム」です。ベトナム人は普段はほぼバイクで移動する生活なので、子供を含めてほとんど歩くことすらありません。ですので、肥満など健康被害も多く、近年はマラソン大会など健康促進をテーマに政府や自治体が積極的に運動イベントを企画するまでに至っています。しかし、それと同時にベトナム人はジムが大好き。近場には何軒も小さなジムがありますし、ここ数年で会員制ジムも発達してきました。

ベトナムならではの困りごと

薄暗い廊下。節電で消えているときもしばしば

ベトナムの住宅街を見てみると分かるのですが、彼らはみんな玄関のドアを開けて、中が見えるようにしています。もし玄関を閉めていると、「あそこの家どんな家庭なのかしら」と不穏な噂が流れるためです。しかし、その習慣をマンションも持ち込むベトナム人もいるようで、ドアを開けて中の様子が丸見えの家庭も見受けられます。また、ベトナムは治安はいいとはいえ、空き巣や泥棒被害も多発しています。その予防策として、ドアの前に鉄格子の門を付ける家も少なくありません。

気になるマンションの間取りは?

間取りは日本とは多少異なる

日本はもともと狭い土地の中に家を作り、いかに広く見せるかという技術に長けています。いわゆる「無駄のない間取り」を心がけていると言えます。一方ベトナムでマンションが人気になったのは、まだここ数年の話。建築技術もさることながら、間取り、レイアウト、物の配置を含めてまだまだ改善の余地はある印象です。

ベトナムのマンションは基本は日本と比べると、かなり「広い」です。ワンルームでは50後半から60平米が普通。2部屋は70から90平米が普通。3部屋で100平米を超す部屋も珍しくありません。ベトナムでも核家族化が進んでいますが、まだまだマンションに2世帯住むのも普通で、また、1世帯であっても子供が多かったり、親せきの子供を預かっていたり、お手伝いさんを住み込みで雇っていたりと、ベトナムならではの習慣で多人数で暮らすことが現在も多々あります。

ベトナムも様式化していて、マンションの寝室はほぼベッド。

ベトナムと日本の間取りの大きな違いは3つ。

1つ目......先に説明したように、日本の間取りは無駄がなく非常に考えられています。一方、ベトナムは無駄なスペース、いわゆるデッドスペースが多いため、「ここ無駄だよなあ」といった埃が溜まった空間がいくつもあります。

2つ目......2部屋、3部屋の間取りになると、トイレは2つから3つあるのが当たり前となります。筆者が住んでいるマンションは3部屋ですが、トイレも3つ。1つは部屋についていて、1つは部屋を出て3歩歩くと洗面所があり、3つ目は台所の隣についています。これもどこにでも見られる配置ですね。

3つ目......ベトナム人は日本のサザエさん一家のよう。多くの時間をリビングで家族一緒に過ごします。また、友人や会社の同僚、両親や親せきを招いて食事会をすることもしばしばなので、リビングが異様な広さを持っています。その分自室が狭く、3部屋90平米の間取りであっても、自室の1部屋は10平米そこそこという狭いところがよくあります。

シャワーが普通。浴槽がある確率は低い

シャワールーム。トイレと独立している間取りは皆無

ベトナムには浴槽に浸かるお風呂文化はありませんので、基本はシャワーとなります。高級マンションで100平米を超える広い間取りであれば、浴槽があるところもありますが、トイレや洗面台と同じスペースなので、お湯が溢れてしまうと洗面所が水浸しになってしまいます。また、マンションではトイレは水洗がほとんどで、紙を流しても詰まることは滅多にありません。シャワーの湯はガスで水圧も問題ないので、ここらへんで不便はありません。

今後もマンション売買は活発に

核家族化が進むほど、ベトナムでも戸建てよりマンションに住む家庭は多くなることでしょう。また、ホーチミンやハノイといった都心の地価は年々上昇しているため、もはや普通の一般所得者層が手が出せないところまで上がっています。今回はベトナムのマンション事情をご紹介しました!

著者プロフィール

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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