ドンコイ通りとその周辺はホーチミン観光のメッカであり、ベトナムで最も発展した名実ともに象徴都市。そのドンコイ通りエリアはもちろん日本人旅行者にも大人気。一大ショッピングエリアでもありますし、3つ星から5つ星ホテルが並ぶことから多くの旅行者がこの界隈に滞在します。今回は紹介するレストランは、このドンコイ通り周辺。徒歩5分圏内で行ける一押しレストランをご紹介したいと思います。
一押し①:ほっこりとした温もり感じる「ゴックチャウガーデン」
まず最初にご紹介するのは「ゴックチャウガーデン」。グエンフエ通りやビテクスコフィナンシャルタワーのすぐ近くにある小さなお店です。店内は吹き抜け3階建てで、上階から下層を見下ろすことができます。店内は幅は狭いですが奥行がある典型的なベトナム住居の造り。コンセプトは田舎の家庭。オールドチックな木造で仕立てられたテーブルチェアに、ベトナムで昔から盛んな陶磁器を食器に使用。
ゴックチャウガーデンの人気の秘密は凝った内装だけではありません。数十並ぶベトナム料理はどれも家庭の味を再現。昔の南部料理をプロのシェフが一層おいしく仕上げてくれました。ベトナム料理は他の東南アジアのそれと比べてスパイスをあまり使用しないのが特徴。素朴な味付けが素材を引き立たせ、食べた瞬間「これが本当のベトナム料理なんだ」と感じるほど日本料理とは似つきません。またベトナム料理といえばヘルシーな野菜料理が多い印象ですが、豚肉や鶏肉を使った料理も同じだけ多いので、そちらもご賞味ください。
一押し②:ルーフトップレストランならココ「シークレットガーデン」
パスター通りの路地を入った先にある古いアパートを入ったその屋上にあるのが「シークレットガーデン」。自然に覆われたルーフトップガーデンレストランで、都会の真ん中で素朴な田舎風景と雰囲気を楽しめるとあって、オープン直後から外国人に人気となった話題のレストランです。従業員の来ている服はいまでもカントリーサイドで来ている農家の服。細部まで気を遣っているのが分かります。
料理は南部料理と北部料理双方を用意。田舎で食べられる素朴な一品も多く、郷土料理も見られます。ほかのレストランでは食べられない料理も多いので、選ぶ料理はしっかりと吟味してほしいところ。屋上にあるせいか日中も風があるためそれほど暑くは感じません。南国田舎らしい昼食を、という方は昼食がおすすめですが、夜に見える景色もビル群のライトアップがうかがえ一見の価値があります。
一押し③:プチパリを味わえる「レモングラス」
日本では明治時代には文明開化を謳い西洋の文化や習慣を積極的に取り入れました。一方ベトナムは1960年以前までフランスの植民地であったため、否応なしにフランスの文化を享受することになったのです。現在でもあちらこちらにフランス風の建物があるのはそれが原因。レモングラスは当時のコロニアル建築に改築したレストラン。馴染みのない日本人でも、ふと古き良きを感じるのが不思議です。夜になると各テーブル席にキャンドルが灯り、ロマンティックなディナータイムをおくることができます。また、毎日定時に1階で伝統音楽の生演奏を聴くことができるので、旅行者はこちらも必見。
レモングラスで食べられる料理はベトナム料理の王道の品々ですが、御覧のようなお洒落な盛り付けやオリジナルソースはフランスの自由と優美を感じることができます。フランス人がベトナムにもたらしたものは多くありますが、その中で見えない影響を受けたのが「自由」。いまのベトナムに他の東南アジア諸国に見られる「堅苦しさ」がないのはそのためかと思います。ちなみにレモングラスはドンコイ通りエリアの中心。市民劇場から歩いて3分圏内です。
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名称:レモングラス(Lemongrass)
住所:4 Nguyen Thiep St. Dist.1
営業時間:11:00~22:30
一押し④:時代の流れを感じる60年代。「タイムビストロ」
1960年代のベトナム南部をイメージしたタイムビストロ。南部はベトナム戦争以前までは「サイゴン」と呼ばれていました。現在でもその名残は町のいたるところに残っていて、いまだにホーチミンをサイゴンと呼ぶ人も多くいます(サイゴンの方がホーチミンより発音が短いので、若者がメールでもよく使います)。サイゴン時代はフランスに支配されていましたが、当時を知る人々は「とても大きな格差社会はあったものの、いまと比べて何もかもが素朴で小さな町並みだったと感慨深げに言います。ここ20年で留まることを知らない発展を見せたベトナム。そろそろ少し立ち止まって後ろを振り返る時にさしかかったのかもしれませんね。
タイムビストロで食べられる料理は昔から今に至るまで食べられている南部料理が中心。彩り豊かな料理はお正月に食べるものや中秋節に食べられる季節色があるものも。どの料理も料理長が考える一工夫されているものが多いので、ここでしか食べられないオリジナル料理もたくさんあります。
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名称:タイムビストロ(Timebistro)
住所:44 Nguyen Hue St. Dist.1
営業時間:10:00~24:00
一押し⑤:申し分ないおいしさ。ザッ・ベトナム料理を提供「ゴールドフィッシュ」
ドンコイ通りと交差するマックチブオイ通りの大通り沿いに建つレストラン。日本でベトナム旅行がブームになったときからある老舗のベトナム料理店で、1階建ての店内は小ぢんまりとしているものの、旅行者が席に座ると、不思議と「ベトナムに来た!」と感じるそう。ゴールドフィッシュとは金魚のことですが、ベトナムでは古くから金魚は幸運の魚として重宝され、バッチャン焼きの柄にもなっているほど。
麺料理から生春巻きと揚げ春巻き、土鍋の煮つけや豚肉、鶏肉、魚料理までベトナム旅行で食べておきたい定番どころは全て押さえているのが特徴。また、観光エリアの中心にあることから客のほとんどは外国人。とりわけ日本人客が多いことから日本語メニューもあるのが魅力です。味は外国人でも親しみやすいようにスパイスは少量に抑えているので、普段は辛くてちょっと食べられない料理も、ここでなら食べられることでしょう。
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名称:ゴールドフィッシュ(Gold Fish)
住所:73 Mac Thi Buoi St. Dist.1
営業時間:10:00~22:00
ドンコイ通りエリアでベトナム食は制覇できる?
今回紹介したところを回れば、ガイドブックでも大きく紹介されているベトナム料理の象徴どころは網羅することができます。ドンコイエリアは外国人のメッカなので、やはり世界中で知名度の高いフォーや生春巻き的な定番料理はどこのレストランでも扱っている様子。ただし、郷土料理はめっぽう弱いほか、外国人にとって少しクセのある料理はあまり見かけないのも実情。あえてディープなベトナム料理を楽しみたい方は、ここだけでは不十分に感じるかもしれませんね。