今回紹介するレストランは、ベトナム料理の定番を扱うのではなく、旅行者には馴染み薄い「フエ料理」の専門店。フエは世界遺産の町として知られているので、知っている、行ったことがあるという人もいるかもしれませんね。そのフエは20世紀半ばまで王朝があった場所で、全13代阮(グエン)朝皇帝が統治していました。そこでは北部ハノイや南部ホーチミンなどとは似つかない独特の食文化が発展し、庶民をはじめ王族が食べていた料理は現在では「フエ料理」、「宮廷料理」としてベトナム料理とは一線を画す料理として認知されています。
そんなフエ料理を食べてみたい方は、是非こちら「フエ・ハウス」に訪れてください。当時の王宮を再現した屋内席に夜景の素敵なオープンエア席双方を完備。味と雰囲気両方を心行くまでお楽しみください。
アクセス
場所は聖母マリア教会を裏に回り、ダイヤモンドプラザの横を北上した先。ロータリーがありますので、右周りに沿って歩くと右方に曲がる道があります。標識にある「Tran Cao Van」通りを見つけてください。Tran Cao Van通りを数十m歩くと、右手にマスタービルディングが見えますので、その建物を入り、正面のエレベーターに乗って10階に上がった先となります。聖母マリア教会から徒歩で10分少々で行くことができるでしょう。ベンタイン市場からは徒歩20分程度。迷うことも考慮したらタクシーで行くのが無難かもしれません。
王宮風の屋内席
店内は屋内席と屋外席に分かれていて、お客様がお好みの席を選ぶことができます。まず紹介するのは屋内席。こちらはフエの王宮をイメージした内装になっています。等間隔に配置されているテーブルと椅子はどれも北中部に古くから伝わる伝統工芸である漆が塗られている様子。漆塗りの技術は古くから発達していたベトナム。かつては宗主国への献上の品でもありましたし、中部で貿易が栄えていたころは、主要の輸出品目でもありました。
屋内席の場合は、料理だけではなく内装を飾るインテリアにも注視してください。骨董品めいたツボや龍の彫刻、小さな明かりを灯す提灯に孔雀の陶器。「まるで昔の中国みたい!」と思うかと思いますが、フエの時代は中国とフランスが主な宗主国でした。その中でも最も色濃く影響を受けたのが中国。フエの王宮も中国の紫禁城を真似て作られた箇所があったり、兵馬俑のような人や動物の石像も建てられていました。
オープンエア席でホーチミンの夜景を
雨降りの日やロマンティックな雰囲気を求めるなら屋外のルーフトップ席に座るのもいいかもしれません。清々しい屋上10階から望む景色は美観。特に夜景は一見の価値があり、これを見るために当レストランに足を運ぶ価値があります。ちなみに予約可能なので、短いホーチミン滞在、理想の時間を実現したいと考える方は事前に席を確保するのも一つの手。スタッフは英語可ですが、語学に自信がない方はホテルスタッフに代わりに電話してもらってください。
予約:+84 909 246 156、+84 906 870 102
夜は御覧のように随所にちりばめられた関節照明が、蛍の光のようにまばらに明かりを灯します。古き良きフエらしさは少ないですが、ホーチミンの高層ビル群や建物のイルミネーションなどがはっきりとうかがうことができ、モダンな夜景都市を一望することができます。夜は気温も下がって外は風が出ていて気持ちいいので、ご家族カップルの方はルーフトップを選ばれてはいかがでしょうか。
フエ料理とベトナム料理の違い
ベトナム料理といえば米粉麺のフォーに生春巻きなどをイメージしますね。フエの料理も素材は基本同じですが、作り方に一工夫も二工夫もあり、また植物由来の調味料をたくさん使うのが特徴です。また、米粉だけではなくタピオカ粉も混ぜることによって透明感ともっちり感を確かめられる食感になっているのも特徴の一つといえるでしょう。例えばバインベオやバインナムはその典型。一見すると米粉を固めただけのようですが、タピオカ粉で固めているので、独特の餅状の歯ごたえを噛みしめることができます。
写真上のこちらもフエの伝統料理の一つのブンヘン。英語では"Noodle with baby clams"と表記され、米粉麺のブンとしじみの貝のむき身をふんだんに使用した一品。ヌクマムベースの特製タレをかけて、麺をひっくり返してから口に運んでください。シジミを使った料理もフエでは定番。ライスペーパーを焼いてせんべいにしたものを砕いて散りばめることによって、ブンの柔らかい歯ごたえと対をなすパリパリとした食感が絶妙にマッチしています。
エビや豚ひき肉をミンチして串に固め、網の炭焼きでじっくりと焼き上げた料理。米粉麺のブンや香草と一緒にライスペーパーで巻いて、甘ダレにつけて口に運んでください。中部地方各地で食べることができますが、ここフエのネムヌオンは一品と評判が高いです。
フエ料理を食べたければ専門のレストランい行くしかなく、通常のベトナム料理レストランでフエ料理は基本扱っていません。それだけ手間と調味料の違いがあるのでしょう。フエ料理を試食してみたい、それでいて雰囲気も大切にしている旅行者は、今回紹介したフエ・ハウスに足を運んでみてください。
<DATA>
名称:フエ・ハウス(The Hue House)
住所:10F 41 - 43 Tran Cao Van St. Ward 6. Dist.3
営業時間:10:00~22:00