つい十数年前まで、ベトナムはアジアの中でも貧国の部類でした。共産主義特有の閉鎖的な経済で人々の生活は決して豊かとはいえませんでした。しかし現在ベトナムは毎年著しい成長率を維持し、中国にとってかわる工場生産拠点(チャイナプラスワン)の筆頭とも言われています。ホーチミンを中心に中間所得者層と富裕層が増え続け、人々はディスコで踊り、ビアクラブでビールを浴び、高級フレンチや中華に舌鼓を打つ。プラダやグッチのバッグの紙袋を提げてショッピングセンターを闊歩し、英語塾やインターナショナルスクールに子どもを通わせる。そんなバブル時代が到来しています。
今回紹介する「ビテクスコ・フィナンシャルタワー」は、その象徴としてベトナムの発展を裏付ける存在。ビジネスオフィスとショッピングセンター棟からなる新観光スポットをご紹介します。
アクセス
場所は一区の中心。通りは「ホートゥンマオ(Ho Tung Mao)」というカフェが並ぶ若者に人気の道です。ハムギー通りから一本中に入ったところでもあり、正面には観光客にも人気のバインミーの名店「ニューラン」があります。旅行者はハムギー通りから行った方が分かりやすいかもしれませんね。
周辺はカフェだけではなく、旅行者向けのベトナム料理レストラン、在住者や現地人向けの日本食、西洋料理店などが並び、出張滞在などでも利用価値のある中級ホテルもいくつか並んでいます。グエンフエ通りやドンコイ通りといったメインストリートまで徒歩で5分~10分程度なので、旅行者にとっても立地は申し分ありません。
ビテクスコの概要
ビテクスコ・フィナンシャルタワーは2007年に施行開始、2010年にオープンした、地上68階、地下3階(駐車場)、高さ265.5mの超高層ビル。当時はホーチミンで一番高い建物でした。建物内部は大きく分けてビジネスと一般商用施設に分かれていて、オフィスフロアは7階から48階、51階から65階となり、貸し会議室もあります。日系企業を含む数百の会社がここに事務所を開いていて、旅行者が利用する一般商用フロアはグランドフロアから6階、49階から52階となります。
グランドフロアの様子
グランドフロアは正面入り口入って左側がオフィスフロアに通じる改札口、右手に高級カフェチェーン店コーヒービーン、正面にはサムスンと富士フィルムの実店舗があります。中央には上にあがるエスカレーターがあり、中央吹き抜けなので見上げれば解放感と透明感ある高い天井を仰ぐことができます。昼間は大きなガラス窓に斜光がほどよく差し込んで居心地のいい空間となっています。
コーヒービーンは1階と2階に跨ぐカフェショップで、ホーチミンを中心に全国展開しているアメリカ系のカフェチェーン店です。こだわりのコーヒー豆を使い、焙煎からこだわったコーヒーはエスプレッソ、ラテ、モカとどれもが一品。お土産用にコーヒー豆を購入することもできます。WiFiも早いので、ここでゆっくりとコーヒーブレイクをとりながら次の観光プランを模索してみるのも。
また、夜はオープンエアの席にてミニライブを開催しています。南国の雰囲気たっぷりの軽快なムードなので、旅行者にも是非満喫していってもらいたいところです。
イギリス系のファストショップの「トップショップ」。メンズとレディースを双方扱っていて、近年ベトナムのショッピングセンターに決まって店舗を構えている人気店となります。過去に日本でも店舗進出がありましたが、現在は撤退済みで、一部の通販サイトのみ取り扱っている現状。トップショップのファッションが好きだという方も多いようなので、ホーチミンで調達していってはいかがでしょうか。
インターナショナルホスピタル「FV」
ビテクスコには旅行者は必ず覚えておいてほしいインターナショナルホスピタルがあります。7区に本院を構える「FV」ホスピタルが1区観光エリアの中心に支店を出したということで、在住外国人の間では一時注目されました。日本語医師はいませんが、通訳者を雇うことができるので、日本人旅行者の方は重宝するはず。
もちろんキャッシュレスサービスにも対応していますし、救急の場合は7区の本院に移ることも可能です。現地在住者から評判は上々なので、緊急連絡先にリストアップしておくといいでしょう。
中級ブランドにトラベルグッズストアが並ぶ
2階以降はアパレルショップやトラベルグッズを売るストアがテナントで入っています。アパレルショップは主にヨーロッパ圏のブランドで、日本には未上陸のものも多々あります。また、馴染み深いところでいえばコンバースやヴァンズ、アディダスなど。値段は日本と変わりませんが、一部限定アイテムがあるかもしれません。
ホーチミン市内のショッピングセンターにはたいてい映画館もあります。映画会社は複数あり、ビテクスコに入っているシネプレックスは比較的高い映画会社。ゆったりとしたソファタイプのアームチェアにプレミアムシートもあります。世界共通のポップコーンももちろん扱っていますし、ベトナム産作品では定期的にこちらでキャストを招いてイベントも開催されます。
ベトナムにおいて映画は若者にとっての貴重な娯楽施設です。月に1回ないし2回友人や恋人と行くたまり場でもあるため、上映作品もジャンルが豊富なうえ、2週間程度で切り替わるので飽きることがありません。日本のようにメジャーハリウッド映画で固めているわけではなく、韓国系、中国系、ロシア系、フランス系など多国籍に富む作品を上映しているのが特徴であり魅力。
フードコートで現地の雰囲気を
6階はフードコート。受付でお金をカードにチャージして、各お店で注文と引き換えにカードで支払います。システムが分からなくとも、お店に厳禁を渡せばスタッフが変わりに受付に行ってくれますので、旅行者も安心してフードコートを楽しんでいってください。フードコートには10以上のお店が入ってい、ベトナムの名物料理を食べられるところもあれば、ロッテリアやケンタッキーなどファーストフードもあります。若者に流行りのハイランズコーヒーやフックロン、ミルクティーのカフェなどもあるので、現地のベトナム人に交じって彼らの日ごろの様子を垣間見るのも興味深いものです。
49階以降の展望台とレストランバーは旅行者必見
高速エレベーターで上がる49階には展望台「スカイデッキ」が、50階には「Cafe Eon」がそれぞれ営業中。スカイデッキは20万ドンの入場料がかかり、360度パノラマでホーチミンのシティビューを見渡すことができます。昼間はこちらがおすすめですが、夜は後者のレストランバーの方が人気。入場料がかからない上、展望台よりもワンフロア高い位置から夜景を愛でることができます。ホーチミン市内屈指の高級バーで、カクテルは一杯約22万ドン(1100円程度)。旅行者にとっては十分予算内かと思うので、最後の晩餐に予約してみるのはいかがでしょうか。
一度は足を運んでほしいショッピングセンター
東南アジアといえば、「発展途上国」といった漠然としたイメージしかない人も少なくありません。しかし、ホーチミン市内を歩けば、「ホーチミンって都会じゃん!」と感じることも多々あるでしょう。その都会の象徴というのが、今回紹介したビテクスコ・フィナンシャルタワーとなります。是非、一度足を運んでみてください。
<DATA>
名称:ビテクスコ・フィナンシャルタワー(Bitexco Financial Tower)
住所:36 Ho Tung Mao St. Dist.1. Ho Chi Minh
HP:http://www.bitexcofinancialtower.com/?lang=en ※英語・ベトナム語