ベトナム建国の父と呼ばれるホーチミン氏。南部都市ホーチミンはベトナム戦争後、ホーチミン氏の名前にちなんでつけられました。ベトナム人にとってホーチミン氏は心の拠り所のような存在で、現在もホーチミン氏の生い立ちから革命家として、首相、主席としての功績を称えた博物館が各地に点在しています。
今回紹介するホーチミン博物館は、ホーチミン関連の博物館の中では最大規模で、展示数も非常に充実しています。時間がない方も30~60分程度割いて、見学していってください。なお、展示物の説明には英語があります。
アクセス
場所はホーチミンの遺体が眠るといわれているホーチミン廟敷地内。衛兵がたくさんいる敷地内で、厳粛な雰囲気が漂っています。位置はホーチミン廟の裏手にあり、一柱寺のすぐ傍にあります。この周辺を回るのであれば、ホーチミン廟からはじまり、ホーチミンハウス、一柱寺、そしてホーチミン博物館と巡るのがいいでしょう。
ホーチミン博物館は休館日はありませんが(旧正月を除く)、月曜と金曜の午後は閉館しますので、旅行者は注意してください。もし訪れる日がこの曜日に該当するのであれば、最初にホーチミン博物館に立ち寄ってもいいでしょう。
モダンな内外装はソ連の設計
白亜の外観に近代的な装飾やレイアウトが施された内装は、ベトナムのほかの博物館とは一味違う様子。この博物館はホーチミン氏の生誕100周年を祝って建てられましたが、それにあたって旧ソ連が全面援助をし、建設から設計まで引き受けたといわれています。ちなみに設計を務めたのは、レーニン博物館を設計した専門家とのこと。
ベトナム建国の父と呼ばれているホーチミン氏は、ソ連の革命家レーニンを強く尊敬していました。それは、ホーチミン氏が目指すものがレーニンと共通していたからとされていて、現在社会主義国のベトナムの政治方針の原則はマルクス・レーニン主義。これはベトナムではホーチミン思想とも呼ばれています。
ベトナムのいたるところで見れるホーチミン氏の肖像画
入口入った最初は、子供から作家が描いたホーチミン氏の肖像画が展示。また当時の写真も多く見ることができ、指導者として作戦会議室に臨む凛々しい姿も見ることができます。
ホーチミン氏の肖像画はベトナムの町を歩けばすぐに見つけることができます。郵便局など公共機関をはじめ、レストランや食堂にも飾られていることも多く、一般家庭にも棚の上に置かれているほど。日本人からすると信じられない光景ですね。
そのホーチミン氏は粛清を嫌い、心優しい革命家だったと言われています。子供たちに愛され、「ホーおじさん」の愛称で親しまれていました。ホーチミン氏のポケットには常に子供にあげるキャンディーが入っていたとも。
また、演説の際、開口一番は「みなさん、お腹いっぱい食べていますか」。ホーチミン氏はフランス統治下時代に農村で生まれ、貧しい生活を強いられていたので、きっと自分の幼少時代を想っての台詞だったのでしょう。
ホーチミン氏の歴史を知る
ホーチミン像も御覧の通り巨大化して展示されています。記念撮影場所として人気があります。あまり歴史に興味がない方も、ホーチミン氏の簡単な経歴は知っておくと、よりベトナムを知ることができます。ベトナムの歴史とホーチミン氏は切り離すことができないほど密接に繋がっているからです。
ちなみに、ホーチミン氏が最も活躍したのはフランスから独立を勝ち取った時代です。ベトナム戦争時ももちろん活躍されたのですが、どちらかというと市民の前にでて指揮を高めることが多かったようです。また、ホーチミン氏はベトナム戦争終結前の1969年に心臓発作で死去することになります。
博物館内では貴重な資料がガラスケースに展示されていたり、当時ホーチミン氏が使っていた書斎や生家、愛車なども模型として見学することができます。
フランスから独立を勝ち取り、ベトナム戦争に勝利した後、ベトナムは南北統一を果たし、ホーチミン氏の夢を達成したことになります。しかし、南部の武力衝突から逃げた難民の人たちや、南部人の一部の間では、ホーチミン氏を「殺人者」と呼ぶ人もいます。これはホーチミン氏が原因で戦争が長引いたことや、共産主義の強制などが理由として挙げられます。
とはいえ、現在のベトナムを形成し、激動の時代の節目を担い、幾多の障害を乗り越えたホーチミン氏は、多くのベトナム人にとってはかけがえのない存在であり、国の象徴でもあります。「それほどすごい人だったんだあ」とホーチミン氏の革命の足取りをさかのぼってみてください。
<DATA>
ホーチミン博物館(Bao Tang Ho Chi Minh)
住所:19 Ngoc Ha St. Hanoi
営業時間:8:00~16:00(月・金曜~12:00)