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半日楽しめる「歴史博物館」

ホーチミン観光の定番スポットが「博物館」。しかし、ホーチミン市内に点在する博物館の多くはベトナム戦争やホーチミン氏革命家についてのもの。「もうお腹いっぱい」、「ベトナムの歴史が知りたい」といった方には、今回紹介する「歴史博物館」がおすすめできます。

ホーチミンには世界遺産や歴史遺産といった名所はほとんどないので、名所巡りとなると博物館となります。ショッピングやスパなどに精を出したい方も、いくつかの博物館を歩いて教養を身につけてみてはいかがでしょうか。

アクセス

外観。ベトナムらしい佇まい

場所はレユアン通りを東に向かった場所。レユアン通りは聖母マリア教会の裏手にある通りです。突き当りには動植物公園があります。希少種のホワイトタイガーが見れる動物園として人気がある観光スポットです。歴史博物館はその敷地内の隣にあり、動植物園側からも入口があります。

聖母マリア教会から徒歩で20分程度かかります。歩いて行くこともできますが、日中は日差しが強いのでけっこう大変ですので、タクシーで行くことをおすすめします。

先史時代から現代までの発掘品が展示

中央フロアにはホーチミン像もうかがえる

歴史博物館には先史時代から現代までのベトナムの歴史を順に追う形で出土品を展示しています。展示品は合計2万点以上に上り、どれも貴重なものばかりです。ベトナムの原始時代は約40万年前からはじまります。有史時代がはじまるのは紀元前1世紀ごろから。当時は中国の属国として、北部ベトナムから歴史がはじまります。

そして、初のベトナム長期政権がはじまったのは、「李朝」。11世紀初頭です。その後、陳朝黎朝と続きました。本拠地ハノイのホアンキエム湖周辺にはリータイトー像やリータイトー通りがあります。

扶南(オケオ)国はカンボジア領の古代国家

フロア内は時代ごとに区分されているほか、日本語パンフレットも受付でもらえるので、何となくどこの時代の出土品かはわかるかと思います。北部ベトナムだけではなく、当時カンボジア領であった扶南国のオケオ文化の遺産なども盛りだくさんです。

貴重な嗣徳通宝も

古銭マニアの間では高価な取引がされている

写真のこちらは安南銭。ベトナムの王朝が発行していた古銭です。嗣徳通宝」と彫られているこちらは、19世紀中ごろに中部阮王朝により発行された古銭です。日本の古銭愛好家の中では、1枚10万円以上の値段で取引されている高価なもの。

少数民族コーナー

こちらも貴重なものばかりが収められている

館内には少数民族エリアもあります。ベトナムは53の少数民族と、人口の8割以上を占めるキン族で構成されている多民族国家といえます。少数民族は山岳地帯や高原地帯、沿岸部、南部メコンデルタなどで暮らしていて、一部の民族はベトナム人とも盛んに交流しています。一般的に少数民族は独自の文化・環境・習慣を持っているので、ベトナム語が話せません。しかし、一部の民族では自分たちの衣装や織物など手工芸品をベトナム人に卸しているところもあり、彼らはベトナム語も堪能のほか、観光客とも交流を図っています。

日本ではアイヌや沖縄の人々がいるので、一概に単一国家とは言い難いものがありますが、それでも多民族国家とは言いませんね。日本人からみると、ベトナムは非常に魅力であり、未知の国に映ることでしょう。

チャンパ王国コーナー

お馴染みの像が眠る

こちらは中部中南部に栄えたチャンパ王国の遺産です。ヒンドゥー教シヴァ派のチャンパ王国は、支配を中部から中南部へ移していく道中、聖域とも言える遺跡を各地に作りました。その中でも最大規模のミーソン遺跡は世界遺産に登録されています。発掘品の多くは御覧のように頭部がありません。これは風化してしまっただけではなく、ベトナム戦争で爆撃されたり、盗難されたりしたことによるものです。

ヒンドゥー教で定番のリンガ

写真のこちらはリンガとヨニ。リンガは男性器の象徴で、破壊の神シヴァ神のものといわれています。一方ヨニは女性器。二つが合わさったことによって世界は創造されたといわれています。現在では女性がリンガに手で触れると、子宝に恵まれると言い伝えられています。

少数民族のチャム族は、チャンパ王国の直接の子孫と言われています。彼らに訊ねてみても、やはり自分たちはチャン王国の子孫であると自負しています。ただし、事実のほどは定かではありません。あくまでも可能性が強いというにとどまります。

水上人形劇も併設

規模は小さめ

ホーチミンではロンヴァン水上人形劇が人気ですが、あちらは夜開催。歴史博物館内にある水上人形劇は、1日複数回公演で、規模が小さいので間近で鑑賞することができます。水上人形劇は1000年以上の歴史を持つベトナム伝統の娯楽。もともと北部農村から生まれた大衆娯楽でしたが、現在では外国人観光客で連日超満員の人気観光スポットになっています。

可能であればロンヴァン水上人形劇で見たいところですが、「夜は別の予定がある」という方は、ここで鑑賞しておくのもいいでしょう。

お土産コーナー

お土産品も充実

ポストカードにマグネット、木彫りや陶磁器の置物に刺繍ポーチといった定番土産が充実しています。値段はドンコイ通りの雑貨店で買うよりも若干高いかなといった印象ですので、ショッピングの時間がとれない方は、ここを利用するといいでしょう。また、休憩できるスペースもあります。

人気レストラン「バタリス」

古き良きといった趣

敷地内には「バタリス」というベトナム料理レストランも併設しています。奥行きのあるワンフロアと小ぢんまりとした規模ですが、実は予約必須の名店。漆で塗られたテーブルチェアやインテリアはベトナムの伝統を表現しており、楽しめる料理も南北ベトナムを代表する名物。さらに一流シェフにより、モダンナイズされた創作料理も楽しめます。

ベトナムを知る歴史博物館がおすすめ!

今回紹介した歴史博物館は、見ごたえ十分のボリュームがあります。ベトナム戦争やホーチミンといった少しナイーブになってしまう博物館が嫌だ、という人には絶対こちらがおすすめです。隣接している動植物公園に水上人形劇、バタリスで食事といった計画を立てたら、半日はここで楽しむことができます。

著者プロフィール

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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