最近は隠れ家的カフェが人気急上昇中のホーチミン。今回紹介するサイゴン・ヴィユ・コーヒーもその一つで、「道に迷ったら、こんなお洒落なカフェに出会えた!」と小さな喜びをかみしめることができるようなところに位置しています。最近ありがちのモダンなカフェとは一線を画し、こちらは「時代を遡った素朴な内装のカフェ」となっています。市民劇場から歩いて5分かからない場所なので、是非足を踏み入れてみてください。
アクセス
場所はグエンフエ通り。人民委員会庁舎の正面にある幅広い歩道がグエンフエ通りです。市民劇場からだと、ドンコイ通りを歩き、マックチブオイ通りを右に曲がると、突当りにグエンフエ通りがあります。建物は写真上のような古びた建物。以前、こちらでオープンしたばかりの日本料理店「ムテキ」を紹介しましたが、それと同じ建物にあります。
中はバイク置き場となっていて、その奥にはエレベーターと階段があります。当カフェは2階なので、階段で行きましょう。エレベーターはおそろしく遅いです。ちょっと怪しい雰囲気を放っていますが、この建物にはいくつものカフェやアパレルショップが入っていて、最近ベトナム人の間で注目されています。ベトナム人の若者や、トレンドにうるさい欧米人女性が行き交っています。
2階の階段を上がった先にある細い通路を歩いた右手の扉が今回紹介するカフェ。多少分かりづらいですが、仮に迷っても、新たな発見があるかもしれません。カフェ前後に他のお店も探してみるのもいいでしょう。
素朴なカフェはサイゴンを投影
カフェの名前は「Saigon Vieux Coffee」。フランス語で「古きサイゴン」という意味を持つこちらのカフェは、文字通りベトナム戦争以前の南ベトナム時代をイメージしたカフェです。南ベトナム時代、ここホーチミンは「サイゴン」という名前で、南ベトナムの首都でありました。貧富の差はあり、粗末な政権ではあったものの、サイゴンに暮らす人々の多くは豊かな生活をしていました。人通りは少なく、馬車が行き交い、コーヒーが男女共通の嗜みでした。
そんなサイゴン当時の、素朴ながらも気品あるフランス統治時代を投影したのが、こちらのカフェとなります。
ベトナムの真ん中にいながらも、どこかフランス風の佇まいを感じることができます。フランス独特の優雅と自由が調和した雰囲気は、この場にいて初めて感じることができます。大人数でわいわいするのではなく、一人や二人でテーブル席に向かいあって座り、午後のひと時を静かに過ごす。そんな空気が似合うカフェとなっています。
グエンフエ通り沿いにはカフェが多数点在していますが、どこもプチパリをイメージした派手な内装が多く、正直疲れてしまうこともあるかもしれません。そんなときは、シンプルながらもしっかりとベトナムとフランスらしさを感じることができる、当カフェがおすすめです。
サイゴンの写真に注目
フランス統治時代のサイゴンの様子は、モノクロの写真で見ることができます。現在もお馴染みの市民劇場やコンチネンタルホテルもあります。しかし、その前を通るのはバイクや車ではなく馬車。フランス人も多く行き交っていました。1992年には1929年フランス統治時代のサイゴンを舞台にした映画「愛人/ラマン」も公開されました。フランス人女性と華僑の青年がチョロンで愛を育む様子は、日本でも話題となりました。そのほか、1930年代を描いた「インドシナ」は、カトリーヌ・ドヌーブが主演したことで知られています。
テラス席でほのぼの時間を
内装はテーブル席だけの質素なものですが、テラス席もあるので、晴れた日はここでコーヒーブレイクをとるのもおすすめです。夜は建物がライトアップされたグエンフエ通りの町並みが美しく、カップルで来るのも歓迎です。
メニューはドリンクがメイン。練乳たっぷりのベトナムコーヒーにくわえ、イタリアンコーヒー、モカ、ラテなど。そのほか、果実風味の紅茶やチョコレート・クリームなどもあります。甘さ控えめで、特に紅茶はちょっぴりビターな風味。女性が好きそうな味です。ちなみに、こちらのお店は同じくグエンフエ通りにあるタイムビストロ
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名称:サイゴン・ヴィユ・コーヒー(Saigon Vieux Coffee)
住所:2F 42 Nguyen Hue St,Dist.1
電話番号:08-6660-5051