ベトナム中部に位置するフエは、19世紀から20世紀にかけて、歴代阮(グエン)朝が政権を築いた場所。最初で最後の王朝とも呼ばれる阮朝時代は、北部ベトナムとも南部ベトナムとも異なる独自の文化を形成していきました。旅行者にとっては、兵どもの夢の跡を見学することができます。また、ゆっくりと時間が流れる市街地の散歩や、ベトナム料理とは一線を画すフエの名物料理といったグルメ旅もおすすめ。今回はフエの概要をご紹介します。
アクセス
ハノイ、ホーチミンともにフエまでは空路で行くことになります。所要時間は約1時間20分。また、ダナンを拠点に旅行されている方は、ダナンからバスで約3時間で行くことができます。昨今中部の世界遺産巡りのツアーが流行っており、フエ、ダナン、ホイアンを周遊する旅行客が増えてきています。いずれもバスで行くことができるので、フエ旅行者は併せてダナンやホイアンも観光してみてはいかがでしょうか。
出発前に、歴史の勉強を
1993年に世界遺産に登録された「フエの建築物群」。歴代皇帝が築いた遺産は、どれも特徴があります。フエ旅行の前には、どの皇帝がどの建築物を作ったのかを知っておくと、より深みのある鑑賞をすることができます。
9月〜11月は洪水
中部は日本の秋の季節が雨季に該当します。北部や南部と異なり、この季節は台風も多く、洪水被害に遭うことも珍しくありません。フエ観光は屋外スポットがメインとなるので、思うような観光ができないことが予想されます。できるだけこの時期を外して旅行計画を立ててください。
フエの宮廷料理を堪能
フエの料理は、他のベトナム料理と明確に区別されています。一般的にフエの人々が日ごろ食べている料理を「フエ料理」。かつて皇帝たちが嗜んでいた高級食材を使った料理を「宮廷料理」としています。現在ではフエ料理と宮廷料理の境界線は曖昧で、旅行者の間ではフエ料理=宮廷料理と認識されていることもしばしば。
現地のレストランで、フエ料理(宮廷料理)を余すことなく堪能していってください。
ツアーもおすすめ
フエ観光では、ツアーに参加するのも有効な手段です。世界遺産に指定されている建築物群は、旧市街地及び新市街地に点在していて、それぞれ距離があります。自力ですべてを回るのは少々困難です。ツアーであれば、半日もしくは1日観光で主要のスポットをすべて回ることができます。
旧市街地と新市街地
フエは阮朝王宮のある旧市街地、そして人々の生活の場所となる新市街地に分かれています。旧市街地はほぼ王宮観光のみで、基本は新市街地が旅の拠点となることから、宿泊するホテルも新市街地がおすすめ。二つの町を分かつフォーン川周辺で宿をとれば、新旧市街地を徒歩で行き来できます。また、安宿を求めるならファングーラオ通りがおすすめです。欧米人バックパッカーが寝泊まりするゲストハウスや、中級ホテルが並んでいます。
世界遺産の建築物群
フエに来たからには、必ず押さえておきたい観光名所があります。歴代皇帝が築いた夢の跡や、王墓などは見どころ満載。中国やフランスをイメージした建物は、他の国ではあまり見られない特色あるもの。是非その目で確かめてください。
阮朝王宮
歴代皇帝をはじめ、皇族の本拠地となっていた阮朝王宮。広い敷地内には大砲やフラッグタワー、美術館に博物館などがあり、観光整備がされています。敷地内は当時煌びやかな本堂を構えていましたが、ベトナム戦争によって、その大半が大破。現在敷地中央は野原になっており、復旧作業が続いています。
とはいえ、フエ最大の名所でもあるので、じっくりと回って、当時の面影を探してみましょう。
ミンマン帝廟
阮朝2代皇帝ミンマン帝の墓がある廟。ミンマン帝の時代は中国(当時:清)を宗主国としていた背景があります。門は中央と左右の3つがあり、中央の門は皇族のみくぐることを許されています。中国の紫禁城をモチーフにしていて、全体的に品格のある落ち着いた佇まいとなります。
トゥドゥック帝廟
4代目皇帝トゥドゥック帝は、歴代13代皇帝の中で最も在位期間が長かった皇帝です。敷地内には湖があり、そこで小舟に乗って釣りをしていたとされ、ここはトゥドゥック帝の別荘地だったのではと言われています。また、トゥドゥック帝はフランスを怒らせ、清仏戦争に発展させた張本人でもあり、これを機に皇帝はフランスの保護下となります。
カイディン帝廟
12代皇帝カイディン帝の時代になると、建築様式はフランスほぼ一色となります。カイディン帝自体が親仏であったようです。建物の内外装含むすべてに華やかな装飾が施されていて、中国建築のような古き気品がある部分はみることができません。歴史の移り変わりを感じることができます。
名所巡り以外でもフエを楽しむ
名所巡り以外では、フォーン川周辺を散策したり、シクロにのって町の周遊、ローカル市場の見学などが挙げられます。また、夜はファングーラオ通り周辺のレストランバーが盛り上がります。フエのお土産としては、お香が一番おすすめ。フエはお香の特産地として知られていて、毎年テト正月前にはフエ産のお香の生産が追い付かないといった報道を見かけます。フエ旅行は一泊ないし二泊から楽しむことができます。一日目は観光名所を回り、二日目は帰りの便がくるまでゆっくりと市内散策をしましょう。