ベトナムの町を歩いていると、マップを広げて現在地を確認している外国人旅行者を多く見かけます。地図を逆さまにしたり、斜めに傾けたりと、同行者と「いまはここにいる」、「こっちの方角よ」などとやりとりしている様子は旅行らしくていいですが、それでも現在地がわからなければ目的地にどうやって行けばいいかもわかりません。これだけでも時間のロスですし、何よりベトナムは南国。真夏の太陽の下で汗をかきながら立ち往生するのもまいってしまいます。
そこで、今回はスムーズに目的地に行けるよう、ベトナムの住所の見方をご紹介したいと思います。
日本では町名、ベトナムでは通り名
日本の住所の場合は、番地に郡、区、町の名前が付きます。例えば東京にある六本木ヒルズの住所は「東京都港区六本木6−11−1」。東京都という大きな都市があり、その中の港区、そして六本木という町中にある6丁目の11番地の1号と読み取ることができます。
六本木まではスムーズに行くことができても、丁目から番地、号までは日本人であっても地図を見ながらでなければどこにあるかわかりませんね。近年はどの車にもカーナビが搭載されるようになりましたが、もしカーナビがなければ、目的地まで行くのはかなり大変です。
ベトナムの住所は単純?
一方、ベトナムの住所を見てみましょう。
例えば、232 Nguyen Trai St.Dist.1.Ho Chi Minh
という住所がある場合は、ホーチミンという大きな都市の中にある1区内、グエンチャイ通りの232番地となります。これは英語表記ですが、ベトナム語表記だと「St.=Duong」、「Dist(District)=Quan」もしくは「Huyen※主に郊外」となります。
まずは通りを探す
ベトナムで道に迷ったときは、ガイドブックや現地のフリーペーパー、もしくはスマホのグーグルマップなどで地図を広げてみましょう。まず最初に探すのは自分たちの現在地ですが、これは通りの名前を探すのが近道。ガイドブックにある地図や、現地で買える市内マップであっても、番地まで載っていることはありません。通りの名前だけとなります。
自分たちがいる通りを探し当てたら、次は目的地の通りを。この時点でわかるのは通りの場所だけなので、詳しい位置は実際その通りを歩いて探す必要があります。このときの注意点ですが、市内の目抜き通りは往々にして非常に長いです。ホーチミンでいえばハイバーチュン通り、パスター通り、グエンチャイ通り、チャンフンダオ通り、グエンティミンカイ通り、ディエンビエンフー通りなどは、端から端まではとてもではありませんが徒歩では歩けません。地図で目的地の通りを見つけたら、どのくらい長いかを予想して、他の道と比べて長いようであれば、近場であってもタクシーで行くのがいいでしょう。
番地の見方
先ほど例に挙げた232 Nguyen Trai通りですが、通りに着いたら、「232」番地を探すことになります。これも知っておくべき知識があります。ベトナムの通りの番地は、左右が偶数と奇数に分かれています。自分の立つ通り沿いの建物の番地を見て、もし奇数であれば、232番地は道路を挟んだ反対側にあると理解することができます。
また、番地に「Hem」や「/」などと表記されている場合は、「路地裏にある」と判断できます。ベトナム人も在住日本人も、路地のことを「Hem=ヘム」と呼びます。通り沿いに当該番地がなければ、路地裏を歩いてみるといいでしょう。
豆知識~同じ通りはたくさんある
チャンフー通りやグエンユー通り、ドンコイ通りにチャンフンダオ通り、グエンティミンカイ通りなどは実はその場所以外にもたくさんあります。これらの通りはホーチミンにもありますし、ハノイにもダナンにもニャチャンにもあり、町が変わる度に同じ通りを見ることができます。
旅慣れてくるとグーグルマップなどで住所を検索することもあるでしょうが、そのときは都市名(ホーチミンやハノイ)まで入れておかないと、検索にヒットしなかったり、現在地とはまったく異なるエリアがヒットしてしまうときもあるので注意してくださいね。
豆知識~通りの名前の由来
写真のこちらはチャンフンダオ像。かつてモンゴル軍や元の侵略を撃退した英雄の将軍。現在では通りの名前になっていて、ホーチミンではベンタイン市場ロータリーの向こう側を起点に、5区の中華街チョロンまで伸びているメインストリートとなっています。
このように、ベトナムにある通りは、すべて歴史上功績を収めた将軍や政治家、革命家、政治指導者の名前が使われています。一部の博物館では、彼らの歴史を知ることもできますので、興味がある方は、彼らが生前どんな足跡を残したのかを追ってみるのもいいでしょう。
道に迷ったらすかさず訊く
旅行中に道に迷った場合は、近くを歩くベトナム人や、お店のスタッフに尋ねるのがいいでしょう。ベトナム人であっても小さな通りの場合は道がわからないので、道端を歩いている人を呼び止めて道を訊いたりします。また、目的地が遠くてタクシーを拾う際は、あたりの看板を見渡して、一方通行ではないことを確認してください。都心は一方通行が多いので、迂回することになると時間も料金も必要以上にかかってしまいます。