ベトナムに旅行に訪れる日本人旅行者の多くは、ガイドブックやネットで目的地を決めることでしょう。しかし、日本人が考えるベトナムのおすすめエリアと、ベトナム人が考えるおすすめエリアとでは、ギャップがあると思ったことはありませんか?今回は、ベトナム人が外国人におすすめする観光エリアTop5をご紹介したいと思います。
1位 恋人の楽園「ダラット」
ダラットはホーチミンからバスで6時間強走ったところにある、標高1400mの高原地帯です。フランスがベトナムを統治していたときに、フランス軍の保養地として山の麓に開拓されたのがはじまり。それ以前は少数民族が暮らす素朴な山だったらしいです。ダラットは近年ガイドブックの片隅に紹介されることもありますが、まだまだ世界的に見ても知名度は低いため、外国人も少なめです。
そのダラットは、ベトナム人カップルにとってはまさに聖域。かつては新婚旅行先の人気エリアで長年NO.1でもありました。高原地帯に咲くカラフルな花々を愛で、湖の畔で一休みをして、少数民族と触れ合う。蒸気機関車に乗って隣村まで行き、華やかな建築物を見学し、夜は温かいスープを飲みながら、ナイトマーケットを散策。時間も忘れるそんな旅を保証してくれます。
ダラットにはロミオとジュリエットに似た悲恋の伝説があります。観光名所にもなっているランビアン山の麓には、ご覧のようなランとビアンの像があります。この二人はそれぞれ別の民族の首長の息子、娘でした。許されない民族間の恋で、ついにはランとビアンが駆け落ちし、このランビアン山に逃げ込みます。しかし、標高の高いダラットの森は、容赦なく彼らから体温を奪い去り、そして最後は命を奪いました。その後、二つの民族の首長は和解し、彼らの愛が一生続くように民族を一つに融合しました。
その民族の名前が「コホー族」。ランビアン山のこの像の周辺には、コホー族の方々が民芸品を作っている様子を見学することができます。もちろんお土産としても買えます。
そのような伝説があるダラットは、多くのベトナム人女性を虜にする観光エリアです。ホーチミン中心から毎日ツアーバスが運行しているので、1泊2日で楽しんでみてはいかがでしょうか。
ベトナム人の意見
「ダラットは本当にロマンティックなところです」
「毎年開催されるフラワーフェスティバルに合わせて行ってください」
「ホーチミン人のほとんどの女性は一度は行ったことがあると思います」
「カップルは是非!でも男性は少し退屈するかも......でも料理もおいしいので!」
2位 ダナン
2位はダナン。北部ハノイ人、南部ホーチミン人ともに中部ダナンはおすすめエリアとして一押しのようです。中部ダナンは海の町として栄え、現在はハノイやホーチミンと違ってのどかで静かな町並みが広がっています。一昔前までは、ダナンはフエ、ホイアン、ミーソン遺跡といった中部世界遺産に行く旅行者の拠点でしかありませんでした。しかし、近年ダナン市も観光インフラを発達させ、博物館やテーマパークなどもできるようになり、観光客が徐々に増えてきました。
もともとベトナム人にとっては海の町、新鮮な魚介がおいしい町として認識されていて、今回もインタビュー時には「是非新鮮なシーフード料理を楽しんでください」とみなさん口をそろえて仰っていました。
また、ダナンには特産物として昔から大理石が挙げられます。現在ではすでに発掘をやめているようですが、ダナン市中心には大きな連山があり、その連山は大理石の山(マーブルマウンテン)として観光客に人気があります。
それ以外にも中世フランスの町並みを再現したバーナーヒルズや、海洋国家チャンパ王国の遺産を展示したチャム彫刻博物館なども見どころの一つ。ビーチはミーケービーチとノンヌォックビーチの二つ。前者は海水浴場として、後者はプライベートビーチとして楽しめます。ビーチ沿いには新鮮な魚介を食べられる海鮮食堂があるので、南国気分に浸かりながら食事を楽しめます。
ベトナム人の意見
「ダナンに来たらシーフード三昧でしょ」
「夜の海はデートにおすすめ。バイクの通りも少ないのがGood」
「静かな町で人もみんな親切です。旅行らしい時間を味わえますよ、きっと」
「世界遺産のホイアンまでタクシーで40分程度です。日帰りでも行けます」
3位 旧市街(ハノイ)
ハノイのホアンキエム湖北部に広がる旧市街は、ベトナム人からは「フォーコー」と呼ばれている町。かつてハノイが首都を名乗る前、ここにはタンロン城(現世界遺産)が置かれていました。そのお膝元となった旧市街は、タンロン城の一大商業都市として発展しました。
現在は軒を連ねる家々や雰囲気、雑踏などに当時の雰囲気を感じることができます。どことなく懐かしい気分にさせてくれる町です。旧市街をのほほんと散歩して、そこに暮らす人々の生活風景を見学してみてください。
旧市街の最大の観光名所がこちらのナイトマーケット。毎週末の金曜~日曜に開催され、旧市街噴水付近からドンスアン市場までの縦に続く一本道にひたすら屋台が並んでいます。もちろん外国人旅行客も多いですが、それ以上に地元の現地人の多さに驚かされます。毎週末欠かさず通っているハノイ人も多いとのことです。
ナイトマーケットはドンスアン市場まで広がっていて、市場周辺にはさらに食堂と屋台が広がっています。この食堂と屋台は自治体が定めた店で、深夜営業を許可されています。だいたい2時くらいまではどこも営業しています。
ベトナム人の意見
「ハノイっていったら旧市街。ほかは郊外くらいしか行くところがないかな」
「ナイトマーケットはベトナム人みんな大好きです。旧市街の規模はかなり大きめ」
「ホイアンみたいな町並みです。でも場所によっては夜はちょっと危ないかも」
「日本人も好きな人多いと思うけど、みなさん別の名所に行っているみたい」
4位 ゴーバップ区(ホーチミン)
続いてランクインしたのはホーチミンのゴーバップ区。外国人旅行者は聞いたこともない地名でしょう。どのガイドブックにも紹介されているのは見たことがありません。しかし、ゴーバップ区はホーチミン市中心に活動の拠点を置く人たちのベッドタウンです。ホーチミン市内では最も人口が多く、また全国から移住者がいます。
そのゴーバップ区は、ガイドブックに紹介されるような名所や見どころはありませんが、とにかく素朴。プチパリなどと呼ばれているホーチミンが嘘のように見えます。人々は早朝に青空市場で買い出しをし、若者はビリヤードに夢中。夕暮れになると公園で社交ダンスをはじめ、屋台で人がにぎわう。東南アジアとしてのベトナムの魅力がぎゅっと詰まった町になっています。
しかし、ゴーバップには現地人しか知らないもう一つの顔があります。それは「若者に人気のお店が多い」というもの。流行の服飾ショップや、フェイスブックで話題になっている食堂やレストラン、そして1区ではなかなか見つからない大規模なお洒落カフェなど。
日本人旅行客はホーチミン旅行でカフェも楽しみたいところですが、ベトナム人にとってもカフェは休日に行く憩いの遊び場。フェイスブックや口コミサイトでは、常にお洒落なカフェが話題となって挙げられています。ゴーバップ区はタンソンニャット国際空港からタクシーで北上すること20分程度。それほど遠い距離ではないので、半日程度時間を使って観光散策してみてはいかがでしょうか。
ベトナム人の意見
「ゴーバップには流行のカフェと食堂が多いです」
「大通りのワンチョン通りがおすすめです。人気のチェーン店や服飾店がずらりと並んでいます」
「ワンチョン通り沿いのナイトマーケットは、たぶん市内中心界隈で一番規模が大きいのでは?」
「クラスの友人にもゴーバップに住んでいる人はたくさんいます!いいところですよ」
5位 カントー
最後にランクインしたのはカントー。カントーは南部メコンデルタ地方で一番大きな都市であり、中心に位置しています。ベトナムに来る旅行者の中には、「自然を感じたい」、「メコン川を見たい」といった人も多いはず。カントーはメコン川の支流が流れていることはもちろんのこと、そこで暮らす人々の生活風景も見どころの一つ。
それ以外にも自然派アクティビティやナイトクルージング、市場に屋台、ナイトマーケットと、旅行者が心を癒せるスポットがいくつもあります。ベトナム人にとっては自分の実家があったり、親類が住んでいることもしばしばあるため親しみのある町ですが、「日本人はきっと気に入る町です」との意見が多く見受けられました。
メコンデルタの名物の一つがこちらの「水上市場」。カントーの水上市場はかなりの大規模であり、かつ旅行者もアクセスしやすいのが魅力です。早朝の5時~11時くらいをピークに、大小100を超える商船が行き交い、船上で商品の売買を行います。
旅行者はツーリストボートか定員二人くらいの小さな高速ボートでこの様子を見学することができます。日本とはかけ離れた光景に異国を感じることができるでしょう。
ベトナム人の意見
「メコンデルタ地方へ行くなら、カントーが一番おすすめ」
「料理もおいしいです。メコンデルタのフーティウはもっちりしていてホーチミンではあまり食べられません」
「ベトナム人は暑いからあまり行きたがらないけど、外国人には一番おすすめのエリアだと思います」
「カントーよりもさらにメコンデルタの奥へ行くのもありです!」
ベトナムに何を求めるか
海外旅行では、自分がその国に対して抱いているイメージというものがあります。そのイメージに沿ったエリアを考えたとき、もしここで紹介したベトナム人おすすめのエリアに近いものがあれば、一つ選んでみてはいかがでしょうか。失敗したと思うかどうかは人それぞれですが、少なくとも「普通の人が体験したことがない経験」をすることができるかと思います。